EAをVPSで動かす ― 必要スペック・レイテンシー・セキュリティの基礎

ハウツー

EAを24時間稼働させるためのVPS選びで押さえるべき基礎知識を、MetaQuotes公式情報と主要VPS事業者の価格データをもとにブローカーに依存しない形で整理する。

EAを24時間動かすには自宅PCでなくVPS上でMT4/MT5を稼働させるのが基本で、必要スペックは公式には固定値がなく利用状況次第で変わる。

なぜEAにVPSが必要なのか?

MetaQuotes自身の公式ヘルプは、EA(自動売買ロボット)の継続稼働、マーケットで購入したEA、シグナル(コピートレード)購読のいずれも「取引サーバーへの常時接続と無停電の電源」を必要とすると明記し、「自宅PCの利用は必ずしも可能・便利とは限らない」と述べている。これがMetaQuotes自身が説明する、そもそもVPS・仮想ホスティングを利用する理由だ(出典: MetaQuotes公式ヘルプ)。

MetaQuotes公式のVPS(バーチャルホスティング)という選択肢もある

サードパーティのVPS事業者を検討する前に押さえておきたいのが、MetaQuotes自身が提供する「MetaTrader Virtual Hosting」だ。MetaTrader端末内から直接申し込め、別途サードパーティのVPS事業者と契約する必要がなく、課金はMQL5.communityアカウント経由で行われる。MetaQuotes自身が挙げる強みは、「一般的なVDS・VPSと違い、自分が使っているブローカーに物理的に最も近いホスティングノードを選べる」点で、これにより発注時のネットワーク遅延を最小化できるとしている。24時間の無料トライアルも用意されている(出典: MetaQuotes公式)。

この記事はブローカーを特定せずに書いているため、「どのVPSがどのブローカーに近いか」という組み合わせの案内はしない。MetaQuotes公式のバーチャルホスティングは、自分の端末とホスティングサーバー・ブローカーサーバー間の遅延を実際に比較する機能を備えており、「とりあえず主要都市に近そうな場所を選ぶ」という当て推量ではなく、自分の口座で実際に測って選べる、数少ないブローカーに依存しない選択肢だ(出典: MetaQuotes公式)。

MT4/MT5にはどれくらいのスペックが必要なのか?

MetaQuotes公式のMT5インストールドキュメントには、「Windows 10/11で動作する」という記載と、「ハードウェア要件は、稼働中のMQL5アプリケーションの負荷、アクティブな銘柄・チャートの数など、具体的な利用条件に依存する」という記載があるのみで、MetaQuotes自身は固定の最小RAM・CPU数値を公式には公表していない。「MetaQuotesが公式にX GB必要と言っている」という主張があれば、それはMetaQuotesが公表していない数字を作り出していることになる(出典: MetaQuotes公式)。

公式な下限値がない代わりに、複数のブローカー・VPS事業者が非公式な目安として挙げている数値がある(あくまで各社独自の目安であり、MetaQuotes公認のスペックではない)。よく見かける例としては、最低ラインとしてRAM 2GB、複数チャート・複数EAを動かす場合の目安として4〜8GB、CPUはSSE2対応のデュアルコア以上、といった数字が複数のブローカー教育ブログに繰り返し登場する(出典: 複数のブローカー教育ブログ。MetaQuotes公式のスペックではない点に注意)。

VPSの費用感はどれくらいか?

当サイトのvaultで一次情報を確認した7社の価格・スペックは次の通り(いずれも2026-07-11巡回時点、税込表示のもの)。

事業者 プラン例 スペック 月額目安
お名前.comデスクトップクラウド StartUp 2GB 2コア/2GB/150GB ¥2,640
Xserver VPS for Windows Server 2GBプラン 3コア/2GB/100GB ¥2,740
ABLENET VPS Win1 2コア/2GB/60GB ¥2,732
シンクラウドデスクトップ for FX スタートアップ2GB 2コア/2GB/150GB ¥3,580
TradingFXVPS HFT Standard 1コア/2GB/30GB 約$17.5(年額換算の月割)
Hyonix Windows VPS RDP HS-1 1 vCore/2GB/30GB $6.5
Vultr Cloud Compute vc2 最小プラン 1 vCPU/1GB/25GB $5

国内の「デスクトップ型」VPS(お名前.com・Xserver・ABLENET・シンクラウド)はいずれも月額2,600〜3,600円台からWindows Server環境が使え、MT4/MT5対応(mt4Ready)を明記しているものが多い。一方、TradingFXVPS・HyonixのようなFX特化/HFTを名乗る海外事業者はドル建てで数字上は小さく見えることがあるが、年間契約が前提だったり、通貨・課金サイクルが異なったりする。単純な月額表示だけで比較できるものではない(出典: vault/PropDB/VPS各社データ、各社公式料金ページ)。Vultrのような汎用クラウドは東京リージョン(「nrt」)を含む世界各地のロケーションを公式APIで確認でき、FX専業ではないが選択肢の一つになる(出典: Vultr公式API)。

レイテンシー(遅延)を減らすには何を見ればいいのか?

VPSとブローカーの取引サーバー間のレイテンシーは、基本的に物理的な回線距離とルーティングで決まる。ブローカーのサーバーに近い(理想はコロケーション/クロスコネクトされた)VPSほど低遅延になりやすいが、「どこが近いか」は使っているブローカーによって変わるため、この記事では特定の組み合わせの案内はしない。当サイトが確認できた広く使える方法は2つある。ひとつは前述のMetaQuotes公式バーチャルホスティングで、自分のブローカーに実際に近いノードを、ブローカー名を指定せずに選べる。もうひとつは、サードパーティのFX特化VPS事業者の多くが複数拠点を用意している点で、当サイトのvaultだけでもTradingFXVPSはロンドン・ニューヨーク・フランクフルト・アムステルダム、Vultrは東京を含む世界各地を提供しており、「自分のブローカーに近い場所」がトレーダーごとに違うからこそ、複数拠点が用意されている(出典: MetaQuotes公式、vault/PropDB/VPS各社データ)。

VPSのセキュリティで最低限気をつけることは?

MicrosoftのリモートデスクトップRDPに関する公式ドキュメントは、「リモートアクセスできるすべてのアカウントには強力でユニークなパスワードを設定すること」と明記し、「リモートデスクトップを有効にするとPC上にポートが開き、ローカルネットワーク上のデバイスからアクセス可能になる」ため、「信頼できるネットワーク上でのみ有効化し、厳格なアクセス制御が必要な端末では有効化を避ける」ことを推奨している。ローカルネットワーク外からのアクセスには、RDPを直接インターネットに公開するのではなく、ポート転送やVPN経由を使うよう案内している(出典: Microsoft公式ドキュメント)。

これに加えて、複数のセキュリティ関連情報源で共通して挙げられている(ただし単一の一次資料で裏取りできたものではなく、慣行として収斂しているという扱いの)対策として、ネットワークレベル認証(NLA)の有効化、VPS事業者が対応していれば多要素認証の利用、既定のRDPポート(3389)をそのままインターネットに公開せず送信元IPやVPNで制限すること、取引していない時間帯はアカウントを無効化すること、が挙げられる。これらは単一の公式ソースに基づく一覧ではなく、複数の情報源で繰り返し登場する一般的な慣行として紹介する(出典: 複数のセキュリティ関連情報源。収斂した慣行であり単一の一次資料ではない)。

よくある質問

自宅PCでEAを動かし続けるのは不可能か? 不可能ではないが、MetaQuotes自身が「常時接続と無停電電源」を要件として挙げており、停電・回線切断・PCの再起動などでEAが止まるリスクは自宅PCの方が高い。

MT4とMT5で必要なVPSスペックは違うのか? MetaQuotes公式はMT4・MT5いずれについても固定の数値を公表していない。稼働させるEAの数や複雑さによって必要なリソースは変わる。

どのVPSの拠点を選べばいいのか? この記事では特定のブローカーとVPS拠点の組み合わせは案内しない。MetaQuotes公式のバーチャルホスティングで実際の遅延を比較するか、複数拠点を持つVPS事業者から自分のブローカーに近そうな場所を試すことになる。


VPS事業者ごとの詳細な価格・スペックはVPS比較で確認できる。用語の定義はプロップファーム用語集、EAの実行環境をめぐる速度の限界はHFTという世界で扱っている。

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タグ: EA / VPS / MT4 / MT5 / レイテンシー

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